怪談・怖い話 体験談

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湖底の秘密

私は週末になると、いつも近くの湖で釣りを楽しんでいます。その日も、朝早くから愛用の釣り竿を持って湖畔にやってきました。

いつもの場所で、エサを付けて竿を投げ入れます。静かな湖面を眺めながら、のんびりと魚が掛かるのを待っていました。

数時間が過ぎ、うとうととしていたところでようやく竿先が大きく揺れました。「でかいのが掛かったな」と思い、力を込めて竿を引き上げます。

しかし、水面から現れたのは魚ではありませんでした。それは人間の足首でした。腐敗が進んでいましたが、明らかに人間のものです。

恐怖で体が凍りつく中、さらに恐ろしいことが起こりました。その足首が突然動き出したのです。そして、それは私の方へとゆっくりと歩み寄ってきました。

パニックになって逃げようとしましたが、体が動きません。足首がどんどん近づいてきます。そのとき、湖面から無数の手が現れ、私の体を掴みました。

湖底に引きずり込まれそうになった瞬間、目が覚めました。全身汗だくで、釣り竿を握りしめていました。

「悪い夢か...」と安堵したのもつかの間、竿先が急に沈み込みました。恐る恐る引き上げると、水面から現れたのは...

それ以来、私は二度とあの湖には近づいていません。釣りも完全にやめてしまいました。

時々、夜中に目覚めると、濡れた足音が部屋の中を歩き回る音が聞こえます。そして、ドアの隙間から覗く腐った足首が見えるのです。

釣りは本当に恐ろしい趣味かもしれません。みなさんも、知らない湖で釣りをする時は気をつけてください。湖底には、誰にも言えない恐ろしい秘密が眠っているかもしれないのですから。