怪談・怖い話 体験談

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古い山荘の夏

私が大学生だった夏のこと。友人5人と山奥にある古い山荘で1週間を過ごすことになった。その山荘は友人の親戚が所有しているもので、普段は使われていないという。

到着した日の夜、私たちは楽しく酒を飲みながら語り合った。しかし、深夜になると奇妙な音が聞こえ始めた。2階から聞こえてくる足音のような音に、私たちは恐る恐る2階へ上がってみたが、誰もいなかった。

翌日、私たちは周辺を散策したが、山荘から離れるにつれて不安な気持ちが強くなった。帰り道、私は木の枝にひっかかった古い着物を見つけた。それを山荘に持ち帰ると、友人の一人が顔色を変えて「これは...」と言いかけたが、それ以上は話さなかった。

3日目の夜、私は喉が渇いて目が覚めた。キッチンに向かう途中、窓の外に人影を見た気がした。恐る恐る近づくと、白装束の女性が立っていた。彼女はゆっくりと振り返り、顔のない頭部をこちらに向けた。私は悲鳴を上げて逃げ出した。
翌朝、友人たちに話すと、誰も信じてくれなかった。しかし、その日から奇妙な出来事が続いた。物が勝手に移動する、壁に血のような跡が付く、夜中に泣き声が聞こえるなど。

最終日、私たちは早々に荷物をまとめて山荘を後にした。車に乗り込もうとしたとき、2階の窓に人影が見えた。そして、かすかに聞こえた声。
「また来てね...」

家に帰ってから、私は友人の一人に電話をした。山荘の話をすると、彼は重い口調でこう言った。
「実は、あの山荘には悲しい歴史があるんだ。50年前、そこに住んでいた家族全員が殺された。犯人は見つからず、事件は迷宮入りしたんだ。そして...」
その瞬間、電話が切れた。再びかけ直そうとしたが、つながらない。窓の外を見ると、雨が降り始めていた。そして、窓ガラスに映った影。それは、あの白装束の女性だった。
ゆっくりと振り返ると...