怪談・怖い話 体験談

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終わりなきトンネル

私は長距離トラックの運転手だ。深夜の山道を走ることも多く、様々な経験をしてきた。しかし、あの夜のことは今でも忘れられない。

その日、いつもと違うルートを通ることになった。道路工事の迂回路で、地図にも載っていない山奥の道だった。真夜中、ヘッドライトだけを頼りに走っていると、古びたトンネルが見えてきた。

トンネルに入ると、妙な違和感を覚えた。壁面が異常に古く、苔むしているように見える。しかし、すぐに出口が見えるだろうと思っていた。

5分経っても出口が見えない。10分経っても同じだ。おかしいと思い、バックミラーを確認すると、入口の光も見えなくなっていた。

不安になり、スピードを上げた。しかし、どれだけ走っても景色は変わらない。ラジオをつけても、ノイズしか聞こえない。携帯電話も圏外だ。

1時間が経過した。燃料計を見ると、残りわずかになっていた。パニックになりそうな気持ちを抑え、車を止めることにした。

エンジンを切り、車を降りる。懐中電灯を持って、来た道を歩き始めた。しかし、どれだけ歩いても景色は変わらない。壁には奇妙な模様が刻まれているのに気づいた。人の顔のようにも見える。

疲れ果てて座り込んだ時、遠くからエンジン音が聞こえてきた。助けが来たと思い、立ち上がる。

しかし、近づいてきたのは...私のトラックだった。運転席に座っているのは、私自身だった。

トラックは私の前を通り過ぎ、闇の中へと消えていった。気がつくと、私は再び運転席に座っていた。燃料計は満タンを指している。

そして今も、私はこのトンネルの中を走り続けている。いつかは出口に辿り着けると信じて...